彼の正体
投稿者:潤 (1)
これは私が実際に数年前に体験したお話です。
私は若くして年上の男性と結婚して、三年ほど夫婦として生活をしてきたのですが
年々激しさを増す束縛に耐えきれず、私は半ば夜逃げのような形で離婚をしました。
彼は私が自分の荷物を取りに戻った際に、
離婚届を用意して机に置いてあったため私が役所に提出し
何事もなく離婚は成立し、安堵したその日から
私は悪夢にうなされる様になりました。
私をじっと睨むような目つきで遠いところから彼が見ている夢でした。
怒りのような憎悪のような眼差しをぶつけてくる夢に
私は実家の寝室で息を荒くしながら、冷や汗をかき目覚める日々が一週間ほど続きました。
所詮は夢なのだ、この気持ちの不安定さが落ち着けば
そんな夢も見なくなるはずだ。そんな風に自分に言い聞かせながら、
過ごしていたら姉からの着信がありました。
なんだろうと電話を取ると、姉は開口一番に「最近夜眠れてないんじゃない?」
と私に問いかけました。私は苦笑しながらも最近見る悪夢について話ました。
姉は少し黙りこんで息を吸い込んでからこう説明してきたのです。
「前の旦那さんがもの凄い念を飛ばしている。俺は捨てられたみたいな
怒りと寂しさが○○(私)に向いている。一緒にお不動さんを参拝に行こう。」
私も姉も元々霊感があるのですが、姉は私よりもっと感じやすい体質で私の
身に何か起きているのを察知して電話をかけてきたのが分かり、
その悪夢の正体がまさか彼が飛ばしている念だと気づきもしなかった私ですが、
彼に対する感情も、この悪夢とも縁を切りたかった私は姉と日程を合わせ
地元で有名な不動明王が祀られている神社へ向かう事にしました。
その神社に到着すると同時に頭痛が激しさを増し、
吐き気を抑えながら不動明王の元に到着すると私はなぜか自然と
涙をこぼしながら泣き始め、手を合わせ始めたのです。
説明すると難しいのですが、
他の誰かが操っているようなそんな感覚になりながら、私は真言を唱えました。
姉は私の背中を叩いたり、ゆっくりと体をなぞりがら真言を唱え
私の体の中に入り込んでしまった念を出しやすいように手伝ってくれていました。
怖いですね。