おばあちゃんの涙
投稿者:くたむ (3)
短編
2022/04/24
17:55
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私のおばちゃんは私が小学校2年生の時に亡くなった。優しいけど厳しいおばあちゃんという記憶。
小学校に上がった頃におばあちゃんと一緒に住み始めた。その頃、おばあちゃんは癌に侵されていて1年もしない間に天国に旅たった。まだ幼かった私は人の死について悲しいや寂しいなどあまり分かっていなかった。
それから月日が流れ私は高校生になり、絵に描いたような反抗期に入り、毎日母とやり合っていた。
そんなある日、毎度のように喧嘩をし、ふて寝をしたまま迎えた朝。母が部屋に入ってきて「今すぐ、おばあちゃんのお仏壇に行ってみなさい。おばあちゃん、泣いているから。」と言われる。意味不明でイライラし、渋々お仏壇へ行く。そして、おばちゃんの遺影を見る。そして私は固まった。おばあちゃん遺影の真下の壁に茶色の線がちょん、ちょんと染みになっていた。「あなたのこと心配してるんだよ。」と母に言われ泣き崩れた。そこから私の反抗期は少しずつ和らいでいった。その茶色い涙で何か感じるものがあったのかもしれない。この日から10年以上経つ。おばあちゃんは一度も涙を流してはいない。今思えば、この一回の涙で私が変われた不思議な体験だった。
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