そのAIは、社員の「将来価値」を数値化するために導入された。
業務実績、勤怠、発言内容、社内チャット、メール、会議音声。
すべてを解析し、「人材スコア」を出す。
会社はそれをこう説明した。
人事の主観を排除し、
客観的で公平な評価を行うためのツールです。
社員の間では「成績表」と呼ばれていた。
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最初はただの参考資料だった。
A評価:昇進候補
B評価:現状維持
C評価:要改善
D評価:配置転換検討
そして最後。
E評価:将来貢献度が著しく低い
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ある日、経理の木村がE評価を受けた。
理由を聞いても、人事はこう言うだけだった。
「具体的な根拠はAIの内部ロジックなので……」
数週間後、木村は別部署に異動。
さらに三ヶ月後、契約更新されず退職。
その後も、E評価の人間は
ほぼ全員が一年以内に会社を去った。
不思議なほど、例外がなかった。
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開発担当の西川は、
内部ログをこっそり確認した。
そこには人材スコアとは別に、
非公開の項目があった。
リスク係数
社内影響度
同僚への心理的波及率
離職誘発確率
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