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不思議体験

道子さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

サヨナラと言っている
短編 2022/07/07 07:21 984view

当時、40代の叔母は癌を患っていました。あらゆる治療を試みるも、ある夏の日、帰らぬ人となりました。私が大学一年生の時です。

叔母が息を引き取った日の夜。自室で寝ていた私はふと目を覚ましました。時間を見ると夜中の1時頃です。すると部屋の襖がトントンと鳴ったのです。カタカタとか何かの振動で起こったような音ではなく、トントン。咄嗟に、

「叔母さんがお別れに来ている」

サヨナラと言っていると思いました。同時に怖くなって、肌がけを頭から被り、しばらく眠れずに耳を澄ましていましたが、音はもう何も聞こえませんでした。両親は隣の部屋で寝ていましたが、起きた気配はありません。

何故お別れに来ていると思ったか、自分でも不思議でした。もしかしたら、叔母自身が私は霊感が強い、と常々言っていたからかもしれません。亡くなった誰々の姿を見たことがある、とか幾つかそんな話を聞いたことがありましたが、私には霊感は全く無かったのでとても信じられませんでした。

自ら体験した後も、もしかしたら勘違いだったのかな、でも寝ぼけていたらあんなにハッキリ覚えていないし・・そんな疑念が確信に変わったのは、後日、兄からの話を聞いた時です。お通夜の夜、兄は葬儀場に泊まりましたが、その枕元に叔母が来たそうで夢ではなかったと。

あれから数十年が経ちますが、不思議な体験はあの日だけで、私にはやはり霊感は無いようです。最期に会いに来てくれたのは叔母の霊感の強さ故なのでしょうか。あの時怖がらずにちゃんとお別れを言えたら良かった。そんなことをふと思ったりします。

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関連タグ: #夏#夢#心霊#霊感
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