霊は激しい肩こりで訴える
投稿者:魚魚 (1)
8月の夕暮れ、お盆の混雑を避け会社帰りに先祖に挨拶をしに行った時のお話です。
母の昔の実家は寺町で、お盆というと昔は提灯が灯されてお参りというよりお祭りのような幻想的な雰囲気だったそうで、今でもその名残があり、数歩歩くと別のお寺に辿り着きます。
毎回訪れる母の同級生の三世代続く花屋の、生き残りをかけた新サービスお参り代行のチラシを横目に、少々あまのじゃくの私は、所謂盆花では無く、夏の季節を意識したひまわりを墓参りの花に選びました。
お盆近くとあり、お寺の入り口には提灯が灯され、魂が各家庭へと帰っていくのを見送っている様な雰囲気を感じつつ、墓石と墓石の間の入り組んだ道をひたすら歩き、先祖にお参りを行いました。
日はとっくに暮れていましたが、夏の暑さで汗が首筋に流れていきました。帰り道、ふとどこからか「よく来たね」と声が聞こえました。後ろを振り向くとそこには人の影は無く、前を歩く家族も全く気付いていないようでした。
私だけがその暗闇に取り残されているかのような恐怖に体が震えました。
恐怖を感じた私に追い打ちをかける様に、急に肩に激痛が走りその後段々と体全体が鉛のように重くなっていくのを感じました。
お寺の入り口を出ると無くなると思ったのですが、その痛みは自宅に到着するまでずっと続きました。その後母に事情を話し、思い切り背中をはたいて貰ったところ、嘘のように痛みが消えていきました。
元々明るい性格で全く憑りつかれた事の無い母の強さを感じました。
生きている頃が懐かしく感じたのかもしれません。もう少し痛みを楽しんであげられたなら、その方の本当の家族の元にその声を届けてあげられたなら、その方の心は癒えたのかもしれません。コロナという未曽有の事態ではありますが、そろそろ混雑を避け先祖に会いに行って参りたいと思います。
また痛みを感じた際には、「よく一年頑張りましたね」と言って差し上げたいものです。
あんまりな事を思うと、一生憑いてまわるよ?
お墓参りは、「何かのついで」に行くと良くないですよ。