このパンプスは誰のもの?
投稿者:岩石 (1)
これは、私が後輩から聞いた恐怖体験談です。
私はオカルト系の怖い話やホラーなどが好きで、よく友人やサークルの仲間などにもそういう話があったら教えてくれという風に頼んでいました。
サークルの後輩に大人しい女の子がいるのですが、ある日「知り合いがとても怖い体験をしたんだけど、聞きますか?」と言い出してくれたのです。
そういった話に飢えていた私はもちろんぜひ聞かせてくれと後輩に頼みました。
後輩の知り合いに、大学に入学したばかりで一人暮らしを始めた女の子(A子さんとします)がいたのですが、その時に新居をアパートの2階に決めたそうです。
女の子の一人暮らしですし、本当はもう少し高い階が良かったそうなのですが、あいにく3月の引越しシーズンでその階の部屋しか空いていませんでした。
しかし1階ではないだけマシだろうと入学式前にそのアパートに引っ越しました。
都会のアパートということもあり、しばらく住んでいてもあまり住民と顔を合わせることもなく、新しい友達を作ったりサークルに入ったりして忙しいながらも充実した毎日を送っていました。
そんなある日、少しの違和感を感じる出来事が起きました。
サークルの飲み会の帰り、自分の部屋の扉の前に見慣れない女性のパンプスが落ちていたのです。
不思議に思いましたが、アパートの住人が酔って置いて行ってしまったか何かだろうとあまり気にせずにパンプスを扉の横の通路に退けて部屋に帰りました。
次の日にはそのパンプスは無くなっていたので、A子さんもそのことは忘れていつも通り大学生活を送っていました。
それから数日後、アパートに帰るとまた数日前のものと同じパンプスが扉の前に落ちていたのです。
さすがに少しぞっとしたA子さんはパンプスを足で通路側に退けて部屋に入りました。
部屋に入った彼女は扉の鍵を閉めてドアチェーンもかけ、窓が閉まっているかも全てチェックしました。
窓の戸締りや鍵は閉めていたものの、ドアチェーンまでは今までかけておらず、その日から毎日ドアチェーンをかけるようになりました。
多少不安は残っていたものの、その日は何事もなく、結局また同じ人がパンプスを脱ぎっぱなしにしてしまったのだろうと思うことにしました。
それからしばらく経ったある日、休日だったA子さんは一日中家から出ずに部屋でゆっくりと過ごしていました。
その日は雨風もすごく、部屋の中にいても風の音が聞こえてくるぐらい酷かったそうです。
夕方になり、ご飯も済ませてA子さんがお風呂に入っている時、突然ガチャガチャガチャッと扉か窓が揺れるような音がしました。
彼女も少し不審に思いましたが、夕方になっても雨は弱まっていなかったため、風か何かで窓が揺れたのだろうとそのままお風呂に入っていました。
その後も不規則にガチャガチャガチャという音は鳴り続け、あまりにうるさいのでお風呂から上がったら外の様子を見に行こうかなと思ったそうです。
20分後くらいにお風呂を上がったA子さんは寝巻きに着替え、カーテンを開けて窓の外を確認しましたが、ベランダに何か飛んできている様子はありませんでした。
その時はもうガチャガチャという音もしていなかったため、玄関のドアも確認しようとドアチェーンをかけたまま鍵を開けドアを開きました。
その瞬間彼女の体はいきなり強い力で引っ張られました。
いきなり何者かの手がドアから伸びてきて腕を掴まれたのです。
出てきた腕はどう見ても男の腕で、力が強く腕ごと外に引きずり出されそうになりました。
ですが、ドアチェーンをかけていたのと、掴まれたのが手首だったおかげで大声をあげながらどうにか男の手を振り解くことが出来ました。
部屋の奥に逃げ込み警察に電話しようと携帯電話を取り出しますが、玄関では未だにガチャガチャと激しく音が鳴っています。
いつドアチェーンが切れるか恐怖に焦りながら、警察に電話して数十分後、ようやく男は取り押さえられたのでした。
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